




⚠️ ご注意(免責事項)
本記事は、筆者が個人的にイベントへ参加した体験・感想をもとに書いたものです。登壇者の見解は、筆者が講演内容を聞き取ってまとめたもので、正確性・完全性を保証するものではありません。
記事の内容は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資にかかる最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
今回聞いたセミナーは3本。「AIバブルは崩壊するのか」「ゴールドはどう持つべきか」「新TOPIXで何が変わるのか」と、いまの相場で気になるテーマがひと通り揃った一日でした。個人投資家の目線で、感想を交えながらお届けします。
📋 イベント概要
| イベント名 | インベスター&トレーダーEXPO2026 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年9月12日(土) |
| 時間 | 12:00〜18:00(受付開始 11:30) |
| 主催 | 日本取引所グループ |
| 運営 | パンローリング株式会社 |
| 会場 | ベルサール新宿グランド イベントホール 東京都新宿区西新宿8-17-3 住友不動産新宿グランドタワー 1F |
| 参加費 | 無料(申込制) |
今年も新宿へ——ベルサール新宿グランドの「ちょうどよさ」
資産運用系のイベントは年に2回ほど開かれるものが多く、なんとなく半年おきのペースで捉えていました。ところがインベスター&トレーダーEXPOは年に1回の開催。よく考えてみれば、前回参加したのは確かに去年のことでした。
会場はベルサール新宿グランド。以前にも別の資産運用イベントで訪れたことのある会場です。ベルサールといえば、いつも何かとお世話になっている住友不動産さんが手がけるイベントスペース。なかなか強いブランドだなあと感じます。
それにしても、なんとも「ちょうどよいサイズ感」の会場です。東京ビッグサイトや東京国際フォーラムは、大きすぎて少し持て余してしまうこともありますからね。ただ、ベルサール完全制覇にはまだまだ時間がかかりそうです。
① エミン・ユルマズ氏「世界経済と市場の未来予測」——冒頭から「AIバブル」の話
A会場|12:00〜13:00
久しぶりにエミン・ユルマズ氏の講演を聞いてきました。冒頭のあいさつでいきなり出てきたのは、AIバブルの崩壊の話です。
クラウドサービスで有名なサテライトオフィスのイメージキャラクター、篠崎愛さんが、いつのまにか「篠崎AIさん」になっていた件。「もうこれは、AIバブルではないか?」という懸念からスタートしました。そして、大暴落の前に靴磨きの少年から株を勧められた、という有名な逸話になぞらえて講演が始まります。
米国経済:景気先行指数と景気一致指数
そして、いつも通りの景気先行指数と景気一致指数の話。「いつものあのグラフ」が登場しました。
・米国の景気先行指数は下落傾向、景気一致指数は横ばいの中で上昇の兆し
・製造業が弱いため先行指数は下落。一方で雇用は強く、一致指数には若干の上昇の兆し
・先行指数を構成する10個の指標のうち、ミシガン大学消費者信頼感指数が下落基調で、消費者センチメントが悪化
・一方で株価は上昇基調のため、株価と消費者センチメントの乖離が広がっている
AI投資ブームと、米国民の温度差
hyperscalerを中心とした「AI投資の盛り上がり」の影響を受けていそうな米国ですが、意外にも、アメリカ人にはAIに否定的な人が多いそうです。データセンターの建設による恩恵よりも、電気と水を大量に消費するデメリットのほうが大きいと受け止められていて、建設に反対する人も多いとのこと。
大多数のミドル層のアメリカ人は、ホワイトカラーとしてAIに仕事を奪われる側。データセンター建設で潤うのは、AIの影響を受けにくいブルーカラーだという構図も指摘されました。そのため、今後はAIに対する規制が中間選挙のカギになるとの見立てです。確かに、hyperscaler自身もAIが進化しすぎる点に歯止めをかけようとしている、というニュースを耳にすることが増えました。
「新規雇用」が増えない問題
もうひとつ懸念されているのが雇用です。失業率は増えていないものの、新規雇用も増えていない。新人がやる仕事をAIが代替してしまうので、新人に任せる仕事がない。仮に新人に仕事を振ったとしても、その新人がAIに仕事を振るので、そもそも新人に仕事を振る意味がない——という話でした。その結果、雇用の数字というより「労働参加率が増えていない」という状況になっているそうです。
インフレの時代には、株価と景気の関係が薄れてしまう。現金の行き場がなく、とりあえず株に資金が流入している状態だ、という見方も示されました。
日本経済:景気は上向き、でもK字の懸念
・景気一致指数は横ばいの状況から上昇の兆し、景気先行指数は上昇中
・一致指数では雇用が上昇、先行指数では製造業も消費者センチメントも上昇中 → 景気は上向き
・ただし、日本経済がK字経済に向かっているという懸念がある
・倒産件数が増加しており、AIに乗って業績が好調な業種と、乗り切れずに不調なままの業種に分かれてしまっている
SpaceXのIPOと、次に控えるAnthropic
最後に、SpaceXのIPOについて。上場の影響で米国の中小型株が売られている、という指摘がありました。SpaceXのIPOに向けた資金を確保したい個人投資家が、米国の中小型株を売って資金を作った結果ではないか、という見方です。
ということは、次に控えるAnthropicのIPOも注目か? ……というところで、この日のオープニングセッションは終了となりました。
💡 補足:SpaceXは2026年6月にNASDAQへ上場しました。Anthropicについては、複数のメディアが上場の検討・準備を報じていますが、時期などは確定情報ではありません。
② 池水雄一氏・山口英雄氏「インフレ×地政学=金に投資せよ」——結論は積立継続
B会場|13:15〜14:10
ここしばらく、ゴールドといえば江守哲氏の講演が続いていたところへ、久しぶりの池水雄一氏の登場です。
爆騰からの調整で、ゴールドはすっかり話題にならなくなりました。とはいえ、ゴールドのセミナーとなるとつい参加してしまいます。ゴールドの天井は、夕方のニュースで連日取り上げられていた頃だったでしょうか。ゴールドを積み立てている自分にとっては、チャートを見ても「上がってるな」「下がってるな」くらいの感想しかないのですが。
下落は「高値から3割」で収まる?
ゴールドの長期チャートを見ると、リーマンショック、コロナショック、そして直近の謎の爆騰からの調整——だいたい高値から30%の下落で収まっているとのこと。ちょうど今、直近の高値から30%下落したあたりでもみ合っているので、このあたりが底だろうという見立てです。4,000ドルのサポートラインは堅いだろうとのことでした。
ゴールド価格とM2の関係
フィアットマネー(不換通貨)は、刷れば刷るほど通貨の価値が下がります。講演では、ゴールドの価格とM2(通貨の発行量)はほぼ相関するという説明がありました。通貨が増えれば増えるほどゴールドの価格が上がるということで、M2が下がることなく上昇していくと考えれば、ゴールドの価格はこれ以上は下がらないだろう、という結論です。
「価値」と「価格」は違う
そして今回いちばん印象に残ったのが、ゴールドの「価値」と「価格」の違いを理解することが重要という話です。
・価格は上がったり下がったりするが、本質的なゴールドの価値は変わらない(産業用、代替貨幣、宝飾品需要など)
・ゴールドが「安全資産」だというのは、価格が常に変わらない、あるいはインフレとともに徐々に上がるという意味ではない
・ゴールドを売ったお金で買えるものが変わらないという意味。現在でも20年後でも、同じ量のゴールドを売って買えるものが変わらない
・つまりゴールドは「価値保存としての財産」。現在の価値を10年後、20年後に引き継ぐ財産
一言でいうと、ちょっとした調整でがたがた言うな、安全資産を信じて長期保有しなさい、ということのようです。
というわけで、私の結論は「積立投資を続行」。消極的な投資継続という形で決定しました。
③ 岡村友哉氏・大川智宏氏「市場の行方と新TOPIX」——漫談かと思いきや
A会場|15:10〜16:10
テレビやYouTubeで見たことのあるお二人です。講演に参加するのは初めてでしたが、オープニングトークを聞いていて、少し嫌な予感がしました。少し前に体験した「株式投資漫談」のような展開だったからです。
まずい、株式投資漫談で1時間は体がもたない。ちょっとおなかも頭も痛くなってきて、退席を覚悟しかけたのですが——テーマに沿って講演が仕切りなおされました。危なかった。
大川氏のパート:AIバブルは崩壊するのか
まず大川氏のパートでは、中国勢の躍進がテーマになりました。hyperscalerの設備投資は相変わらず巨大ですが、その金額は「需要の増大」というより、単純に半導体などの価格上昇によるものが多いとのこと。一方で中国は、AIアプリだけでなく、GPU・DRAM・NANDまでサプライチェーン全体で存在感を高めています。
| 分野 | 企業名 |
|---|---|
| AI | DeepSeek、Moonshot、Qwen |
| GPU(四小龍) | Moore Threads、MetaX、Biren、Enflameなど |
| メモリ(DRAM) | CXMT |
| メモリ(NAND) | YMTC |
講演スライド「中国勢の躍進、チャンス&リスク」をもとに筆者が要約(出所:講演資料より)
中国AIの台頭によって、AIのインフラ化が進み、より低価格化を促す可能性が出てきます。現在のhyperscalerは、巨額の設備投資でFCF(フリーキャッシュフロー)が圧迫されている状況です。そこにAIサービスの低価格化が加わると、設備投資の回収効率が低下するリスクも出てくる。そうなると、もうAIバブルは崩壊なのか?——という流れで、「今後期待できる業界」の紹介がありました。
① hyperscaler:GPU、HBM、DRAM、SSDなどの価格低下で、AIインフラの設備投資額とサービス提供コストが下がる。ただし、AIサービスの価格も同時に下がると、コスト低下のメリットが利用者への値下げに吸収される可能性がある
② アップル等のPC・スマホ製造メーカー:DRAMやNANDの価格変動が製品原価に直結する。現在はAIデータセンター向けのメモリ供給が優先され、価格上昇や出荷減少が問題になっているが、供給が正常化してメモリ価格が下がれば、買い替え需要の回復とメーカーの利益率改善が期待できる
③ ゲーム機業界:メモリやストレージの使用量が多く部品価格の影響を受けやすい。半導体価格が下がればゲーム機の価格を引き下げやすくなり、普及台数の増加につながる可能性がある。ゲーム機の価格が下がれば、ゲームソフト業界にも追い風
実際にアップルの新製品スマホは、とんでもない価格で発表されました。メモリなどの低価格化が進んだとき、今後の価格と収益率がどう変化するのか、気になるところです。
まとめると、半導体メモリの高止まりから低価格化への流れは「AIバブルの終わり」ではなく、半導体を大量に使用する企業にとって、製造原価の低下・利益率の改善・販売価格の引き下げによる需要拡大につながる——ということのようです。
岡村氏のパート:新TOPIXで「市場区分」と「指数採用」を別々に考える
続いて岡村氏のパートは、TOPIX改革です。2026年10月にTOPIX改革の第2弾が始まり、TOPIX採用銘柄が1,600銘柄から1,000銘柄程度に減る予定、というお話でした。
・現在のTOPIX採用銘柄のうち、浮動株時価総額が一定水準(講演では420億円以下)の銘柄は除外される
・除外された銘柄には売り圧力が発生する。インデックスファンド等が保有している場合も売却されることになる
・今回の改革で、TOPIX採用銘柄はプライム市場だけでなく、スタンダード市場やグロース市場からも選ばれるようになる
・よって、「市場区分」と「指数採用」を別々に考える必要が出てくる
・TOPIXから除外される小型株の株価は下落し、新たに採用されるスタンダード・グロース市場の株式は上昇する可能性があるため、注意が必要
💡 公式情報による補足:JPX総研の資料によれば、TOPIXの見直し第2段階では構成銘柄数が約1,700銘柄から約1,050銘柄へ減少する見通しです。初回の定期入替は2026年10月の最終営業日で、除外・ウエイト低減は2026年10月から2028年10月まで四半期ごと8段階で段階的に実施される予定とされています(浮動株時価総額の最小値は2026年3月末時点で約360億円)。
講演メモと公式資料で数字が異なる箇所がありますので、売買判断の前に、必ずJPX(日本取引所グループ/JPX総研)の最新の公式資料をご確認ください。
これで、予約していたセミナーへの参加は終了です。
ブース巡り——スタンプラリーが無い、という心地よさ
このインベスター&トレーダーEXPOは、ほかの資産運用イベントと違ってスタンプラリーが無いのが特徴です。必死になってブースをめぐる必要がなく、比較的のんびりと、興味のあるブースだけを回ることができました。
SBI証券のブースにて
SBI証券は「SBI株オプション」という店頭取引の株式オプションを展開しています。ブースのスタッフの方に「JPXの株オプ(かぶオプ)に参加してほしい」と伝えてみたところ、「まさに検討している」との回答をいただきました。
💡 かぶオプ(大阪取引所の有価証券オプション)の個人向け取扱い会社として、JPXの「北浜投資塾」には、現在インタラクティブ・ブローカーズ証券、光世証券、moomoo証券の3社が掲載されています(掲載につき事前に了解を得た会社のみ公表とのこと)。
日本株式の株オプは、制度としては約定しやすくなったといっても、取引できる証券会社が実質的に無いに等しい状況では、なかなか手を出せません。ということで、SBI証券さん、よろしくお願いします。
あとは、先物の会社が多かった印象です。先物にはちょっと手が出ません。先物に手を出すくらいなら、オプション取引の幅を広げるほうがいいかな、というのが今の考えです。先物の会社は華麗にスルーして、帰宅することにしました。
今日の3つの収穫
半導体価格の低下によって恩恵を受ける企業にも目を向ける。ハイパースケーラーだけでなく、PC・スマホ製造メーカーやゲーム機業界など、AIバブルの「周辺」にも視野を広げることが大切だと感じました。
短期的な価格変動と、長期的な価値保存機能は別物。日々のチャートの上げ下げに一喜一憂するのではなく、積立投資を淡々と続けるという結論にたどり着けました。
市場区分と指数採用を分けて考える。講演メモと公式資料とで数字にズレがあったように、情報は複数のソースで確認したうえで、売買判断に活かす必要があると改めて感じました。
📌 筆者の個人的な結論
AIバブルの行方も、ゴールドの値動きも、新TOPIXの入れ替えも、正解は誰にも分かりません。だからこそ「価格ではなく価値を見る」「制度の変化は公式情報で確認する」という基本に立ち返る一日になりました。ゴールドの積立は、これまで通り淡々と続けます。
📝 再掲:免責事項
本記事は筆者の個人的な体験・感想に基づくものであり、特定の金融商品や証券会社・サービスへの投資・利用を推奨するものではありません。登壇者の発言は筆者がメモをもとにまとめたものです。最新の情報は主催者・各社の公式情報をご確認ください。
投資にかかる判断はすべてご自身の責任でお願いします。


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