






本記事は、筆者が個人的にイベントへ参加した体験・感想をもとに書いたものです。特定の金融商品・サービスへの投資を推奨・勧誘するものではありません。
記事の内容は情報提供を目的としており、投資上の助言・指導ではありません。投資にかかる最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
それでも、エミン・ユルマズ氏の講演をはじめ3本のセミナーで学んだことは、現在の世界経済を読み解く上でなかなか密度が高いものでした。K字型経済の崩壊・逆プラザ合意・IFAの必要性——初日の収穫をまとめます。
| イベント名 | 第5回 資産運用EXPO【夏】 |
|---|---|
| 参加日 | 2026年5月15日(金)DAY1 |
| 開催期間 | 2026年5月15日(金)〜17日(日) |
| 会場 | 東京ビッグサイト 東7ホール(東棟) |
| 主催 | RX Japan 合同会社 |
| 入場料 | 無料(事前登録制) |
| 参加セミナー |
① エミン・ユルマズ氏「足元の世界経済動向と注目の投資テーマ」 ②(株)W&P「相場急変動と将来に備えるインフレ時代の資産防衛術」 ③ ペレグリン・ウェルネス・サービシズ「日本株第二の夜明け 長期強気戦略」 |
東棟、遠し——初めての道のりで迷子気分
東京ビッグサイトでの資産運用EXPOといえば、これまでは西棟、たまに南棟。ところが今回はおそらく初めての東棟開催でした。
案内に従って歩く歩く歩く。動く歩道も総動員して進むのに、なかなかたどり着かない。ビッグサイトの広さを改めて思い知らされました。
3日日程の初日ということで、受付はさほど混んでいないだろうと高をくくっていましたが、実際にはそれなりの混雑。10時からのセミナーを予約していたおかげで優先入場レーンに並べたのは助かりました。余計な勧誘に捕まる間もなく、まっすぐセミナー会場へ向かいます。
エミン・ユルマズ氏「足元の世界経済動向と注目の投資テーマ」
みんな大好き、エミン・ユルマズ氏の講演です。登壇前からスタッフが写真禁止のプラカードを持って会場を周回するという念の入れよう。一方でアンケートはQRコードを読み取るスマホ方式——「スマホをしまえ」と「スマホを使え」が共存していて、なんとも複雑な気持ちになりました。
米国経済の陰りと「K字型経済」の崩壊
・地政学リスクが高まっているにもかかわらず、株価は上昇している不思議な状況
・トランプ大統領の移民政策で流入より流出が上回り、少子高齢化問題が顕在化
・ミシガン消費者信頼感指数が史上最低水準に低下
・マクドナルドをはじめ消費財株が軒並み下落
・AIによるホワイトカラーのリストラが高所得者層の消費を圧迫
なかでも印象的だったのが「K字型経済の崩壊」という言葉。高所得者層が消費を牽引してきた構図が、AIによるホワイトカラー層へのリストラ圧力で揺らいでいる——というのがエミン氏の見立てです。コロナ禍以降に語られてきたK字型が、今度は上に伸びた側から崩れ始めているという逆説は、なるほどと思わされました。
FRB新議長の行方
パウエル前議長に対しては金利政策について散々圧力をかけてきたトランプ大統領ですが、後任のケビン・ウォルシュ氏はトランプ大統領の親友の息子という関係。エミン氏いわく「逆に干渉しにくい関係だからこそ、比較的自由に金融政策を運営できるのではないか」とのことでした。
米国株式の現状
日本株式と地政学
日本株については、先行・一致・遅行の各指数がほぼ横ばいの中、AI関連株を中心に日経225とグロース株が上昇しているのに対しTOPIXは伸び悩んでいるという二極化が続いています。
地政学面では、ペトロダラー体制の弱体化とトランプ関税によるブロック経済化が焦点。エミン氏はこれを日本にとっての追い風と捉えており、ブロック化経済下では日本企業が輝きやすいという論点は説得力がありました。
— エミン・ユルマズ氏(要旨)
円相場については、160円超えが日銀介入ライン、ベッセント財務長官が許容するラインが150円という「ボックス相場説」が提示されていました。信ぴょう性はかなり高そうで、個人的にも納得感があります。
(株)W&P「相場急変動と将来に備えるインフレ時代の資産防衛術」
IFA会社によるセミナー。冒頭のひと言が刺さりました。
— セミナー登壇者(要旨)
円安・インフレ・地政学リスク——これらすべてのマイナス影響を100%受けてしまうのが「現金のまま持つ」という選択肢。言われてみれば当たり前のことなのですが、改めて言語化されると重みが違います。
知っておきたい「法則」
72の法則:一括投資した金額が2倍になる年数(72÷利回り)
115の法則:一括投資した金額が3倍になる年数(115÷利回り)
126の法則:積立投資した金額が2倍になる年数(126÷利回り)
72の法則は以前から知っていましたが、115と126は初耳でした。積立投資の場合に専用の法則があるというのは覚えておいて損はなさそうです。
ポートフォリオのリターン構造
金利(債券リターン):20〜30%
β(株式指数リターン):60〜70%
α(マネージャーによるリターン):10〜30%
IFAの会社が「マネージャーによるαの寄与は意外と小さい」と自ら説明するのは、ちょっと驚きました。考えてみれば誠実な説明なのかもしれませんが。
ポートフォリオが完成したあとのメンテナンスがIFAの本来の仕事——という説明を聞いて、「IFAが必要かどうかは、自分のポートフォリオが完成してから考えればいい」という結論に自然と落ち着きました。現段階では保留。まず自分で組み切ってみてから、必要なら相談しようと思います。
ペレグリン・ウェルネス・サービシズ「日本株第二の夜明け 長期強気戦略」
こちらもIFA会社のセミナー。エミン氏の講演にも頻出するキーワードが続々と登場し、世界の投資家が同じ文脈でマクロを読んでいるのだなと実感する内容でした。
デフレ輸入の終わりとインフレの到来
— 登壇者(要旨)
この説明はすっきり腑に落ちました。インフレは消費者には痛みを伴いますが、日本企業にとっては売上高・コスト・利益がともに上昇する環境変化。特に製造業には大きな追い風になるという論点は一貫しています。
逆プラザ合意と労働人口の増加
エミン氏と同様に「逆プラザ合意」が言及されました。巨額の対米投資により市場が円安を容認する構図が形成されつつあり、それが日本の製造業回帰を後押しするという見立てです。
加えて興味深かったのが労働人口の話。人口減少が続く日本ですが、実は労働人口は増加しているとのこと。移民だけでなく、女性や高齢者が労働市場に参加している効果が想定以上に大きいようです。
インフレ進行・逆プラザ合意・製造業回帰という三拍子が揃う中、日本の製造業が今後の経済を大きく牽引するという強気シナリオ。エミン氏の分析とも高い整合性があり、説得力は十分でした。
全体の雑感——EXPOは「場慣れ」が大事
コロナ前から毎回参加している資産運用EXPO。以前はクオカードやAmazonギフト券が飛び交う、ある意味カオスな場所でしたが、ずいぶん落ち着いてきました。その代わり、最近は書籍を配るブースが増えています。
ただ、書籍は重い。パンフレットの倍以上重い。この点は切実な問題です。
ブースの戦略も大別して2パターン。ノベルティ・お菓子・飲み物を配って効率よく個人情報を集める企業と、パンフレット1枚でじっくり話し込もうとする企業。前者は合理的なマーケティングだと思いますし、私自身も何も考えずに列に並んでしまいます。
後者のパターンで話を聞きすぎてしまうと、ブースを離れるタイミングを失うのが悩みどころ。そういうときの魔法のキーワードが「セミナーが始まってしまうので!」。これで今回も無事に乗り切りました。
東棟の遠さに足を鍛えられながらも、3本のセミナーでマクロの大きな流れを確認できた初日でした。逆プラザ合意・日本製造業の復活・K字型経済の崩壊——複数の登壇者が同じ結論に向かっているのは、単なる偶然ではないと思います。DAY2以降の記事もあわせてどうぞ。


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